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レーシックを受けることをお考えの皆様へ ―そのレーシックは本当に安全でしょうか?―

レーシックとは何か?

レーシックとは、角膜をエキシマレーザーで削り(図1)、角膜のカーブを変えることによって屈折異常を矯正する手術方法の一つです(図2)。
角膜をレーザー光線で削る前に、角膜表面にフラップを作る方法を特にLASIK(レーシック)と呼びますが、フラップの作り方によっては、LASEK(ラセック)とか、EPI-LASIK(エピレーシック)などと表現することもあります。また、フラップを作らないでレーザーを照射する方法をPRKといいますが、これらの手術はすべて、エキシマレーザーで角膜形状を削って変えるという点で、原理はレーシックと同じものです。

図1)レーシックの原理
レーシックは、エキシマレーザーというレーザー光線で角膜中央部分を削り、角膜のカーブを変えて、近視などの屈折異常を矯正する手術です。

図2)レーシック後の角膜形状
中央部の青い部分が、レーザーで削られ、角膜形状が変化した部分。
周辺の緑の部分は本来の角膜形状。削られた角膜は薄くなり、元には戻りません。

レーシックのメリットとデメリット

屈折異常の人たちにとって、レーシックは裸眼で物を見ることを目的とした手術ですから、眼鏡やコンタクトレンズから開放されるというメリットがあります。眼鏡のわずらわしさやコンタクトレンズ装用時の異物感や乾燥感に悩まされている人には、これらが不要になるという大きなメリットがあります。
しかし、レーシックで矯正できる度数には限度がありますので、高度の近視や乱視の人では十分に矯正できないことがあります。矯正できる量には個人差がありますので、手術前の十分な検査が必要になります。また、レーシックは手術を行う時点での屈折異常を矯正するものであり、その後の近視の進行を止める効果はありません。このために18歳未満ではレーシックは適応になりません。40歳以上の方では調節力の低下、いわゆる老眼が始まりますが、レーシックで矯正することはできません。レーシックによって遠方の視力が向上しても、近くのものの見づらさが増すことがあります。
また、手術には合併症やリスクがつきもので、そうしたデメリットについて、よく理解することが大切です。主なデメリットを以下にお示しします。

夜間に視力が低下する

夜間の光がまぶしく、にじんだように見えることがあります。角膜の切除径や深さ、瞳孔の大きさなどが関係しますが、こうした症状が生じた場合には治りません。

術後に角膜が変形する

レーザーで削った角膜は元通りには戻すことはできません。高度な近視で、角膜切除量が大きい場合などでは、術後に薄くなった角膜が前方に突出して角膜が不正な形に変形して視力が低下してくることが稀にあります。こうなると、ハードコンタクトレンズによる矯正でしか視力補正ができなくなります。

術後に角膜が混濁する

角膜中央部をレーザーで削るため、角膜に混濁が生じる可能性があります。眼鏡やコンタクトレンズで視力を補正できていた人が、手術を受けたために、かえって視力が低下してしまう可能性があります。
レーシックの術後に生じた感染症で、重度では角膜混濁や菲薄化、変形が起きて、最悪の場合は角膜移植が必要となったり、失明に至ることもあります。

ドライアイになる

レーザー照射の前にフラップを作製するため、角膜の知覚神経が切断され、術後数カ月から1年くらいの間、ドライアイが起きたり、悪化することがあります。これは時間とともに徐々に回復してきますが、回復には個人差があります。
(角膜上皮からムチンが出なくなることも原因です。)

度数の変化によって視力が低下する

術後、屈折矯正効果の戻りなどの変化が起きることがあります。角膜のレーザーで削られて薄くなった部分が突出してくるためではないかと考えられています。多くの場合はレーザーの再照射(再手術)によって補正できますが、残った角膜の厚みや矯正度数の問題で再手術ができないこともあります。

正確な眼圧測定ができなくなる

レーシック術後には角膜が薄くなり変形するので、眼圧測定値が低めに出たり、時には眼圧の測定ができなくなることもあります。日本人は緑内障が多く、40歳以上のうち5%が緑内障に罹患しているという研究結果が出ています。高度近視の方では、緑内障のリスクがより高いのですが、この性質はレーシックを受けても変わりません。レーシックの術後には眼圧が正確に測定できないために、緑内障になっても見逃されてしまう可能性があります。

正確な白内障手術ができなくなる

将来、白内障の手術をされるときは、濁った水晶体の代わりに入れる眼内レンズによって屈折矯正をするのですが、レーシック術後には、この眼内レンズの度数を正確に計算できなくなります。白内障手術の際には、参考データとして、レーシック以前の目のデータと手術内容の記録が必要となります。

レーシックを受ける場合は眼科専門医で

レーシックを受ける前には、上記のようなレーシックのメリットとデメリットを十分にご理解ください。そうした上でレーシックを希望される場合には、必ず眼科専門医の診察および手術を受けてください。眼科専門医とは、日本眼科学会、日本眼科医会の会員であり、その上で眼科手術を含んだ5~6年以上の臨床研修を修了し、専門医の認定を受けた医師です。眼科専門医を取得しないまま、レーシック専門医を謳って手術を行っている医師もおります。眼科専門医の資格の有無は手術施設を選ぶときの判断基準になるかと思います。
日本眼科学会の「エキシマレーザー屈折矯正手術のガイドライン」では、「術者は眼科専門医であると同時に、角膜の生理や疾患ならびに眼光学に精通していることが術者としての必須条件である」とされており、「本装置の使用に際しては,日本眼科学会の指定する屈折矯正手術講習会,および製造業者が実施する設置時講習会の両者を受講することが必要である」と定められています。

レーシックとその前後の診療は保険が利きません

レ-シックは保険外診療のため、レーシック前後に関わる検査・手技を含んだ全ての診療費は自費となります。術後の検査を近所の眼科診療所で受ける場合にも、「自費診療」が原則となります。手術を行なった同一医療機関で一貫して眼の状態を診てもらうことが基本です。
レーシックを受ける際には、手術の費用のなかに術後の検査や薬剤の費用が含まれているか、どのくらいの期間責任を持って診察してもらえるか、十分に確認することをお勧めします。レーシックによる感染予防、術前術後の定期検査などを徹底すると、手術の費用は相応にかかるものと考えてください。目先の費用だけにとらわれず、自分の目は自分で守ると意識することが大切です。