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遺伝性の目の病気

6.遺伝性の目の病気

目の遺伝性疾患はたくさんありますので、代表的な病気についてのべてみたいと思います。

屈折異常

眼球の断面図 近視、遠視、乱視など、カメラのレンズにあたる水晶体のピント合わせがうまくいかない目の異常のことです。メガネをかけてピントが合うと正視の状態になるので、病気ではありますが日常生活にはあまり影響しない場合がほとんどです。しかし屈折異常が遺伝するかどうかは、心配する親御さんから最も多くきかれる質問です。

多くは「祖父母 父母 子ども」と続けて出現する常染色体優性遺伝の形式をとりますが、必ずそうなるとはかぎりません。両親や近親に近視のひとがたんさんいても症状が現れない場合もあります。もし屈折異常とわかってもメガネで矯正できますから、気にすることはないでしょう。

斜視

斜視にはいろいろの種類があります。なかでも間欠性外斜視は常染色体優性遺伝の形をとりますが、浸透率はそれごど高くありません。遺伝による異常が出現する確率を、浸透率といいます。浸透率が高いほど、症状が出やすく病気になりやすいということです。

色覚異常

これはX染色体劣性遺伝の形をとり、ほとんどが男性にみられます(全男子人口の5~6%)。ただし全色覚異常者の4%は女性です。色覚異常の原因は、網膜の錐体細胞にある視細胞の異常で、正常な人に比べて赤や緑を識別する能力が劣るのが特徴です。

女性の中には遺伝子があっても発病せず、子ども(男児)に遺伝子に遺伝子を伝えてその子どもが発病する可能性がある人もいて、この場合は色覚異常の保因者ということになります。

色覚異常は日常生活にほとんど影響がないため自覚されにくく、学校検診ではじめて指摘されることが多いようです。視力に影響がないため、社会的な制約はほとんどなくなってきています。

先天性白内障

水晶体が濁ってものが見えにくくなるのが白内障で、先天性と後天性とがあります。先天性白内障は生まれつき水晶体が濁っているため、外からの光が網膜に達せず視力の発達が妨げられます。そのためできるだけ早い時期に手術をして、弱視になるのを予防する必要があります。多くは常染色体優性遺伝の形をとるので、家族の検査も必要になります。

出生時の水晶体は透明で徐々に濁ってくるタイプの白内障は、水晶体が透明な時期に光刺激を受けた経験があるため弱視になりにくく、この場合は発達白内障といい区別します。遺伝性のものは20~30%で、あとは母体内感染、全身性の代謝異常、染色体異常などが原因です。なかには原因のわからない例もかなりあります。また両眼性のものと片眼性のものとがあり、片眼性の場合は高率で斜視を伴います。

緑内障

眼球内部の圧(眼圧)が高くなるために、視神経がおなされて、視力の低下や視野狭窄がおこる病気を緑内障といいます。

遺伝性の緑内障には先天性緑内障があり、ほかにもリーガー症候群、マルファン症候群、スティックラー症候群、無虹彩症などの他の先天異常に合併しておこる続発先天性緑内障があります。これらの病気が遺伝性であることは解明されていましたが、一般的な緑内障が遺伝するかどうかは不明だったのです。しかし、以前から緑内障には家族性のものがよく知られていて、その遺伝子をみつけることは大きな課題でした。

現在、緑内障の原因遺伝子の一部は解明されて常染色体優性遺伝の形をとることが知られていますが、どのようにして眼圧の上昇をおこすのかはわかっていません。この後の研究が待たれます。

網膜色素変性

視野が周辺からだんだん狭くなって、進行すると中心視野のみを残すようになり、さらに進むと中心視野も失われて失明状態になる病気です。多くの場合、20歳位までに、視野狭窄のため夜盲を自覚するようになります。

遺伝性疾患と考えられていて、遺伝子検索も多く行われていますが、これまでのところ単一遺伝子ではなく多数の遺伝子が関わっていると考えられています。常染色体優性、常染色体劣性、X染色体劣性といろいろな遺伝の形を示しますが、孤発例(近親に同じ病気の人がいないのに発病する例)もあり、この孤発例は劣性遺伝と考えられています。現在は有効な治療法がないため、残された視機能をできる限り有効に使うためのリハビリテイションが治療の中心になります。

ほかに全身的な異常を伴う場合もあります。

網膜芽細胞腫

眼科におけるがんはそれほど多くありませんが、網膜芽細胞種は早くから遺伝性のがんとして知られていました。常染色体優性遺伝の形をとります。最近になって原因遺伝子が発見され、RB遺伝子と呼ばれています。

瞳が光ってみえるため猫目といって恐れられてきましたが、現在では早期に発見し治療すれば生命予後もよく、視力さえ保存できる場合があります。抗がん剤による化学療法、放射線療法、光凝固、冷凍凝固療法を組み合わせる治療を行います。単独で治療が可能な場合もあり、とにかく早期発見、早期治療が大切です。