白内障手術と眼内レンズ 眼内レンズを上手に選ぶために

9.多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズでは、外から目に入ってきた光を遠方と近方に振り分けることによって、二つの距離にピントが合うようになっています。

●遠方というのは、5m より遠くのことです。

●近方にはいくつかの種類があり、ピントの位置が30cm、40cm、50cm、70cm から選ぶことができます。どの距離を見ることが多いか、ご本人の希望や生活のパターンを考えて決めて下さい。例えば、スマートフォンなどの細かい字を見たければ30cm や40cm の距離を選びます。ただし、その場合は、1mや2m の中間距離が見づらくなります。逆に、コンピュータや少し離れたものを見ることが多ければ、50cm や70cm を選ぶと良いでしょう。

多焦点眼内レンズは、白内障手術後にあまりメガネを使いたくない方、メガネを掛けたり外したりしたくない方に向いています。ただし、手術後に全員がメガネを必要としなくなるわけではなく、約9 割の方がメガネ無しで生活されています。
このレンズには欠点もあります。単焦点眼内レンズが一箇所に焦点を合わせているのに対して、多焦点眼内レンズは二箇所に光を振り分けますので、見え方のシャープさが少し劣ります。とくに、暗いところでくっきり感がやや落ちます。また、暗い場所でライトを見ると、光の輪やまぶしさを感じることもあります。夜間の車の運転には注意が必要です。一般に、多焦点眼内レンズの見え方に慣れるまでに、手術後、しばらく時間がかかるといわれています。

単焦点眼内レンズ 多焦点眼内レンズ
ピントを合わせたい距離を決めてそこだけにピントが合う。
それよりも遠くや近くはメガネでピントを調節。
近方と遠方の2 つの距離にピントが合う。
メガネはほとんど不要。
細かいものを見ることが多い人。パソコン作業など、一定の距離で見る仕事が多い人向き。術後、メガネを使いたくない人。メガネを掛けたり外したりしたくない人向き。

多焦点眼内レンズの注意点

多焦点眼内レンズは誰にでも合うわけではありません。白内障以外の病気、例えば緑内障や網膜の病気がある方は、多焦点眼内レンズの適応になりません。また、非常に細かいものを見るような職業の方にも向いていません。しっかり検査を受けて、主治医とよく相談して下さい。
多焦点眼内レンズの手術は健康保険でカバーされません。先進医療という枠組みで行われていますので、一部を患者さん本人に負担して頂く必要があります*。
多焦点眼内レンズは高価なレンズですが、値段が高いから良く見えるというものではりません。手術を受けてみたけれども、どうも合わなくて、単焦点眼内レンズに入れ換えるということもあります。目の状態やライフスタイルを考慮し、主治医の先生とよく相談して下さい。

* 負担額は病院や医院によって異なりますが、30 ~ 50万円ほどです。生命保険や医療保険で先進医療給付特約に加入されている方は、自己負担部分が給付対象となる場合があります。